2017.07.25
ごはん同盟のごはんとうまみの話 vol.2 きんぴらの話 「きんぴらと、琥珀色のうまみの衣」 ~3種類のきんぴら~
稲作が日本に伝わって三千年。お米は日本人の主食として長い間食べられてきました。そして、ごはんを引き立てるために生まれた素材の持ち味を活かしたおかずや汁物。このコラムでは、ごはんと一緒にいただきたい「うまみ」ある一品をご紹介します。
米からつくった調味料「みりん」
ごはん同盟と名乗るぐらいですから、普段の食生活はごはんが中心。朝ごはんは、白いごはんと味噌汁、そして常備菜という構成です。常備菜はいろいろつくるのですが、一番出番が多いのが「きんぴら」。ストックがないときでも、冷蔵庫にある野菜を刻んで炒めれば、すぐに作れてしまうおかずです。もう一品が欲しいなぁという時にもってこいですね。
きんぴらといえば、ごぼうとにんじんが定番の組み合わせ。刻んだごぼうとにんじんを炒め、しょうゆと砂糖を加えさらに炒め、みりんを回しかけ照りを出してできあがり。いたって簡単なレシピなのですが、きんぴらのおいしさのポイントは、最後の「みりん」の有無で決まるのではないかと最近思うようになりました。
きんぴらといえば、ごぼうとにんじんが定番の組み合わせ。刻んだごぼうとにんじんを炒め、しょうゆと砂糖を加えさらに炒め、みりんを回しかけ照りを出してできあがり。いたって簡単なレシピなのですが、きんぴらのおいしさのポイントは、最後の「みりん」の有無で決まるのではないかと最近思うようになりました。
蒸したもち米と米麹を米焼酎といっしょに仕込み、長期間の醸造熟成を経てできた琥珀色の液体がみりんです。もともとは、お酒として飲まれていたみりんは、江戸時代になると甘みやコクを加える調味料として使われ始めます。みりんのおいしさの正体は、米の甘みとうまみ。長期間の熟成のなかで、もち米のでんぷんとたんぱく質が糖分とアミノ酸に分解されて複雑に絡み合うことで、みりん独特の風味が生まれます。
みりんの甘みは、ブドウ糖、オリゴ糖、グルコースなど多種類の糖によるもの。人間の舌は単一の砂糖に比べ、多種類の糖の甘みのほうがまろやかな甘みと感じます。もち米が分解されて生まれるアミノ酸や有機酸、香り成分は、複雑なうまみを作り出します。
みりんの甘みは、ブドウ糖、オリゴ糖、グルコースなど多種類の糖によるもの。人間の舌は単一の砂糖に比べ、多種類の糖の甘みのほうがまろやかな甘みと感じます。もち米が分解されて生まれるアミノ酸や有機酸、香り成分は、複雑なうまみを作り出します。
おいしさの決め手は、みりんのひと回し
野菜を炒め、味付けし、最後にみりんをひと回し。これは、みりんのうまみと甘みを野菜にまとわせておいしく仕上げる大事な行程です。この一手間があってこその、きんぴら。
みりんを加熱すると何種類の糖分が煮詰まり、砂糖だけのときよりも粘りのある美しい照りが生まれます。濃い飴色になるのはみりんに含まれる糖類とアミノ酸が加熱によって結合するメイラード反応によるもの。茶色く色づきさまざまな香り成分が生まれ、さらに食欲をそそります。日本酒に砂糖を加えて煮詰めてもこうはいきません。
みりんを加熱すると何種類の糖分が煮詰まり、砂糖だけのときよりも粘りのある美しい照りが生まれます。濃い飴色になるのはみりんに含まれる糖類とアミノ酸が加熱によって結合するメイラード反応によるもの。茶色く色づきさまざまな香り成分が生まれ、さらに食欲をそそります。日本酒に砂糖を加えて煮詰めてもこうはいきません。
「ごぼうとにんじんのきんぴら」材料とつくり方
◎材料
ごぼう 100g
にんじん 50g
赤唐辛子(輪切り) 小さじ1
ごま油 大さじ1
みりん 大さじ1
(A)しょうゆ 大さじ2
酒 大さじ1
砂糖 大さじ1/2
◎つくり方
1.ごぼうはささがきにする。にんじんは千切りにする。
2.フライパンにごま油を熱し、1と赤唐辛子を炒めAの調味料を回し入れる
3.汁気がなくなったらみりんを回し入れ、照りがでたら火を止める。
みりんのうまみで野菜を包み込む
きんぴらの決め手は、みりんのひと回し。そう考えれば、きんぴらのバリエーションは無限です。「ピーマンとじゃこのきんぴら」は、しょうゆと砂糖を使わないきんぴらの一例。味付けは塩だけですが、じゃこのうまみとみりんのうまみ、唐辛子の辛みが合わさって、ついついごはんがすすむ一品となりました。
「ピーマンとじゃこのきんぴら」材料とつくり方
◎材料
ピーマン 50g
じゃこ 10g
唐辛子(輪切り) 小さじ1
塩 少々
酒 小さじ1
みりん 小さじ1
ごま油 小さじ1
◎つくり方
1.ピーマンは乱切りにする。
2.フライパンにごま油を熱し、ピーマンとじゃこと赤唐辛子を炒める
3.酒をふりかけ、汁気がなくなったらみりんを回し入れ、火を止め、塩で味を整える。
さきほどご紹介した「ピーマンとじゃこのきんぴら」もそうですが、うまみ成分を多く含む食材を加えると、きんぴらはさらにおいしくなります。こちらは「れんこんとベーコンのきんぴら」。イノシン酸が多く含まれているベーコンを使っています。ベーコンのうまみとみりんのうまみが、しゃきしゃきのれんこんを包みこみ、うまみの相乗効果を作り出します。
「れんこんとベーコンのきんぴら」材料とつくり方
◎材料
れんこん 150g
ベーコン 2枚
酒 大さじ1
塩 小さじ1/4
みりん 大さじ1
オリーブオイル 大さじ1
◎つくり方
1.れんこんは薄切りにし、水に10分さらす。ベーコンは薄切りにする。
2.フライパンにオリーブオイルを熱し、ベーコンを炒める。
3.続けてれんこんを加え、酒、塩で炒める。
4.最後にみりんを回しかける。
最近では、みりんを常備していない家庭が増えてきていると聞きますが、食材を簡単においしくしてくれるみりんを使わないとは、なんともったいないこと。みりんのひと回しは、食材にまとわせる琥珀色のうまみの衣。きんぴら作りを通して、みりんの持つうまみと効用を再発見していただけるとうれしいです。
ごはん同盟 プロフィール
試作係(調理担当)のしらいのりこ、試食係(企画・執筆担当)のシライジュンイチ、夫婦ふたりによる炊飯系フードユニット。「おかわりは世界を救う」の理念のもと、日夜ごはんを美味しく味わう方法を生み出し、発信を続ける。お米やごはんに関するワークショップや料理教室を開催するほか、雑誌などを中心に様々なメディアにてごはんレシピを発表。著書『ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65』(山と渓谷社刊)が好評発売中。
http://gohandoumei.com
試作係(調理担当)のしらいのりこ、試食係(企画・執筆担当)のシライジュンイチ、夫婦ふたりによる炊飯系フードユニット。「おかわりは世界を救う」の理念のもと、日夜ごはんを美味しく味わう方法を生み出し、発信を続ける。お米やごはんに関するワークショップや料理教室を開催するほか、雑誌などを中心に様々なメディアにてごはんレシピを発表。著書『ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65』(山と渓谷社刊)が好評発売中。
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